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12/05 大手米銀の経営リスク再考

◇世界潮流 倉都康行  

 大手米銀の株価は、JP MorganからMorgan Stanleyまで2009年初の水準まで下げている。金融危機の後、溢れんばかりの政策的保護の下で再生したように見えた米銀は、再び暗黒時代に突入したかのようだ。それを欧州問題や規制強化だけで説明することは出来ない。後述(特別レポート)するように、2008年の段階で大型金融機関の宿命は決まっていた可能性は否定出来ない。財務省やFRBの救済や支援の施策は、単に業界にモラルハザードを植え付けたに過ぎなかったのかもしれない。
 格付け会社や一部投資家が米銀の健全性を疑う一方で、米銀は欧州向けExposureが如何に少ないかをアピールしている。だがその「ネット信用残高」は効果の不透明なCDSによってヘッジされたものである。欧州の展開次第で米銀不安が再燃することは不可避だろうが、米銀リスクは欧州要因だけに左右されるものではない。まして、Dodd-Frank法による規制強化が銀行不安の要因だと責めるのは、全く本末転倒の議論である。

 米銀には住宅融資と住宅金融に関わる証券化商品という負の遺産が積み置かれている。日本の不良債権処理と違い、完全な損失処理が行われなかったのに加えて、住宅市況の先行きはかなり怪しいものがある。また銀行業の中で最も重要なのは融資量と利鞘であるが、前者は高い自己資本比率が求められる中での増加は難しい。低成長が更なる制約条件となる。S&Pによる格下げとFRBの低金利形成政策は、本業での利鞘縮小リスクを高めることにもなろう。

 また米銀が優位性を誇っていた手数料モデルは風前の灯である。公的債務に資金を吸い上げられる中で民間資本市場の低迷は長期化するだろう。引受やM&A仲介に付随する手数料などは急減しないまでも頭打ちとなりそうだ。また家計から徴収する手数料は、先般のBank of AmericaのDebit Card手数料撤回に見られるように、国民の理解を得られなくなっている。これは米銀の社会的立場の低下を意味するものでもある。

 米経済が家計を中心としたDe-Leverageの過程に入ったばかりであることは明らかであり、それはまだ数年間継続するだろう。上述した諸材料は、収縮経済の中で銀行収益が細る一方になる可能性を示唆している。従来のようなバブル崩壊による金融破綻ではなく、経済収縮による金融破綻という未知の領域に入りつつあるのが米国なのである。米銀の株価低迷は、一時的な現象とは言い難いところがある。


 この記事は「世界潮流アップデート」からの抜粋です。
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