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11/01 米国の強烈な緩和に要注意

◇世界潮流 倉都康行  

 欧州危機に振り回されてきた市場には、まだEFSF再拡充策やスペイン・イタリアの財政問題が積み残されている、との警戒感が強い。米国経済は思ったほど脆弱ではないとの観測から、視線は引き続き欧州市場に置かれがちだ。だが米国問題を軽視すべきではない。今月、財政論議が再燃するのは必至であり、またFRBが住宅・雇用対策としての大幅な緩和策への傾斜を示唆する可能性は否定出来ないからである。

 先般Yellen副議長やDudley NY連銀総裁らが示唆した「QE3」の実現性は、米経済の回復状況を見れば時期尚早だ、との見方が強まっている。だがFRBが懸念しているのは生産ではなく雇用である。そして雇用に重くのしかかる住宅である。確かに追加緩和に関してはFOMC内部でも意見が分かれる為、大胆な政策が採りにくい。前CEA委員長のRomer教授は、今こそBernanke議長はVolcker元議長の決断を教訓にすべきだ、と大胆な追加緩和の必要性を論じている。

 1979年10月に米国のインフレ率は10%を突破して、段階的引き締めはもはや役に立たない状態に陥った。当時のVolcker議長は、その病巣がMoney Supplyだと喝破して劇的な通貨量の抑制に踏み切り、金利は急騰したがインフレは急速に低下した。正しい劇薬は望ましい結果を生む。Romer教授は、Bernanke議長も雇用促進の為に今こそFOMCを説き伏せて大胆な緩和策に突入することを検討せよ、とNY Times紙に寄稿している。

 そして、FOMCの説得策に使うべきは「名目GDP」が望ましい、と教授は述べる。いまや米国内では「名目GDPターゲット論」の大合唱であるが、確かに効果の疑わしい「インフレ・ターゲット」よりも名目GDPを目標値に置く方が解り易く人々にも受け易い。景気後退と低インフレで現在の米国の名目GDPは、2007年以降仮に4.5%の伸び率として引いたとした場合の水準を10%程度下回っている。このギャップを埋めよう、とFOMCに諮る訳だ。

 1930年代のRoosevelt大統領も「物価と所得を大恐慌前の水準に戻そう」と呼び掛けて国民心理を転換させた、と教授は述べる。もしBernanke議長がRoosevelt/Volcker流の大胆な戦術を採用しこうした名目GDP目標へと動き出せば、明らかにドルは下落へ向かう。為替レートは各国当局が強引に決める政治主導のゲームとなるだろう。「為替は市場が決める」という古臭い教条を頑なに信じ込んでいるのは、いまや日本政府だけである。


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